データとAIを取り巻くトレンド【Building in the Gen AI age②】
2024.10.15 MPower Partners Team

MPowerが開催したイベント「Building in the Gen AI age – Strategies to get started」の内容を紹介するシリーズ記事、第2回は世界第2位のAIユニコーンDatabricksでグローバル・バイス・プレジデントを務める中井淳太氏の講演内容をお伝えします。

***

この10年で、トップ10企業の約70%が変わりました。トップ50やトップ200を見れば割合は少し低くなるものの、それだけ競争が激しいということです。このペースは、クラウドの普及、ChatGPTの登場、生成AIなど、私たちが今魅了されているテクノロジーによって、今後劇的に加速するでしょう。

Databricksでは、この変化のスピードや適合性を巡って激化するバトルにどう対応するかという話を顧客とよくします。

すでに変化は起こっています。たとえば世界には3万ものフィンテック企業がありますが、そのうち約350社がユニコーン企業です。実はフィンテック領域にはユニコーン全体の約25%が集中しています。ちなみに、この数字は過去2年間で60%増加しました。アメリカの金利が5%であることを考えるとこれは驚くべきことです。

生成AIには世界を変える可能性があります。しかし、Databricksはおそらく世界でAIに対する支出が最も多い企業の1つであるにもかかわらず、AIによる収益をわずかしか生み出せていません。多くの企業はAIをあまり活用しておらず、その範囲はデータの処理や移動、ダッシュボードの作成にとどまっています。

ビジネスを変革して収益を生み出すまでには、3つのシンプルなステップがあります。まずはクラウドやテクノロジーの移行など技術基盤の最新化。この時点でスタートアップはすでに有利な立場にあります。

次に、組織全体でデータへのアクセスを民主化すること。これは、組織がよりよいデータに基づいた意思決定を行い、データとAIの企業になることを可能にします。そして最後が変革です。

講演を行う中井氏

データとAIにフォーカスした企業が勝ち残ることは明らかです。実際に私は、Databricksの顧客のうち金融サービスや医療など6つの主要業種から5社ずつ計30社の業績を調べ、時間とともに株価でプロットしてみました。

すると、2020年3月のコロナ禍発生を機に、データとAIに焦点を当てる企業には、時間とともに明確なリターンが見られたのです。そして2022年11月のChatGPTのリリース以降、この傾向はさらに加速したように見えます。これが収益に転じるかどうかは今後を見守りたいところですが、ここから考えられるのは機械学習を行う企業がデータとAIを通じて付加価値を得て、市場からも利益を受けているということです。

私たちは将来あらゆる企業がデータとAIの企業になるべきだと信じています。そして、そのための技術をOpenAIだけが持つべきではないとも。私たちは、モデルのトレーニングからシンプルなダッシュボード作成まで、あらゆることを誰でもできるように民主化したいと考えています。

さらに、将来のCEOは全員がデータとAIのCEOでなければならない。それが未来の姿です。

***

最終回では、基調講演を行ったフランクル氏と中井氏に加えて、リーガルテックスタートアップ・リセのCEOである藤田美紀氏、パランティアCEOでSOMPOグループCDO 執行役専務の楢󠄀﨑浩一氏を迎えて行ったパネルディスカッション「生成AIのユースケース」とQ&Aの内容をお届けします。なお、第1回の記事「生成AIを戦略的にカスタマイズする方法」はこちらからお読みください。